コーヒー豆焙煎

コーヒー豆の基礎知識を思いつく限り解説

生豆

焙煎に使うのはコーヒー豆です。

なので豆の事はどれだけ知っていても損はないんですが、専門用語や日頃使わない言葉もたくさん出てくるので基礎寄りにはなりますが、思いつく限りできる限りコーヒー豆について説明します。

豆を焙煎する方もこれから本格的に飲もうとしている方にも役に立つと思います。

アイコン名を入力

Xで新しい記事書けたら投稿します。YouTubeInstagramもやってます。

コーヒー豆の品種

品種改良

コーヒー豆はまず大きく分けて2つの品種に分かれます。それがアラビカ種とカネフォラ種です。

美味しいコーヒー豆と言われているアラビカ種は現在生産されているコーヒー豆の60~70%ほどです。

そしてアラビカ種が突然変異や品種改良でさらに品種が枝分かれしているので、その枝分かれしている品種を紹介したいんですが、すべて紹介するとキリがないので有名な品種を紹介します。

ティピカ種

ティピカ種はアラビカ種から派生した品種の中では最も古くて、この豆がコーヒー発祥の地と言われるエチオピアで生まれてまずはイエメンに伝わってイエメンからインドやインドネシアに伝わったそうです。

その他にもイエメンからオランダに入りそこから中南米に持ち込まれて広がって行きました。

ティピカ種の味は美味しいんですが、病気に弱くてさらに収穫まで4年もかかるので量が沢山採れないので非常に貴重です。ティピカ100%を謳っている豆で販売されている豆は本当か?といったところです。

現在は少しでも病気に強くて収穫量を増やそうと品種改良が重ねられています。

日本で有名なコーヒー豆はティピカ種

ティピカはジャマイカのブルーマウンテンやハワイのコナコーヒーといった高品質かつ有名なコーヒー豆に使われている品種で価格も他のコーヒー豆より高いのでティピカの品質の良さと貴重さがわかると思います。

ブルボン種

ブルボン種はさっき紹介したティピカ種からの派生です。

ブルボンから突然変異や品種改良によって更に派生している豆がたくさんあるのでブルボン種がどれだけ優秀かわかると思います。

ブルボン種が生まれたのはティピカよりは新しいですが、僕たちからすると大分昔の1700年代と言われています。

ティピカをブルボン島に持ち込んで育ててみたら環境が違うので変異が起きて別の品種になって島の名前からブルボンという名前になりました。

ブルボンの実は色々亜種がありまして、基本は赤色ですが黄色のイエローブルボンやピンクブルボンもあって色だけじゃなくて味もそれぞれ違います。

(特にピンクブルボンが飛びぬけて美味しい)

ブルボンはティピカの派生だけあって病気や害虫には弱いですが、美味しくて2年に一度収穫出来る上に、一度に収穫出来る量がティピカより多いので収入の柱になっているコーヒー農家も多いです。

ティピカ種とブルボン種は優秀

いま紹介したティピカとブルボンはアラビカ種の中でも特に品質がよく2大優良品種と呼ばれています。

さっきも言いましたがブルボンには派生した品種が多くあるので派生表を作りましたので見てください。

自然に交配変異した種もありますし、人工的に品種改良された種もあります。豆は品種が同じでも栽培環境が変わるとまた違う味になるのが面白いところですね。

カネフォラ種は嗜好品に向いていない

アラビカ種の次はカネフォラ種についてです。

カネフォラ種はアラビカ種に比べて苦味が強く独特の香りもあり嗜好品としてはあまり評価されていませんし市場価値も低いんですが、豆の世界輸出量はコーヒー豆生産国の中で上位です。

(2024年に入ってから天候不順などが原因の不作でアラビカ種と同水準の価格になっています。)

カネフォラ種はよく育ち、よく採れる

なんでそんな市場価値の低いコーヒー豆を栽培しているのか疑問に思うかもしれませんが、病気に強いからです。

さっきアラビカ種について説明しましたが、アラビカは病気や害虫に弱いのが欠点でした。

いまカネフォラ種を主に栽培している国や地域も昔はアラビカ種を栽培していたんですが、病気や害虫が原因でアラビカが上手く育たなかった地域です。

上手く育たなかったから代わりにカネフォラを栽培し始めました。

カネフォラ種はロブスタと覚える

カネフォラもアラビカとおなじで派生がありますが、ロブスタという品種がメジャーすぎてカネフォラ=ロブスタと認識されているほどです。

ロブスタ種と言えばベトナム

一番ロブスタを出荷している国がベトナムですが、昔はどうせコーヒー豆を売っても安いんだから適当に作ろうという風潮があったそうなんですが、今は最高品質のロブスタを作ろうというコーヒー豆農家の方も出てきたりして、年々ベトナムのロブスタの品質は上がっています。

ロブスタはベトナム以外でも栽培されている

ブラジルでもインドネシアでもアフリカでもロブスタは栽培されています。ある程度の条件が揃っていれば育つのがロブスタです。つよい。

ベトナム以外のロブスタの味は?

ロブスタも栽培されている地域によって、味が変わります。

例えばインドネシア・ジャバ島で栽培されているロブスタは、ベトナムロブスタを基準とすると、コクが強くマイルドです。(あくまでベトナムロブスタとの比較です。)

日本では幻クラスのコーヒー豆

話は戻りますが、最初にコーヒー豆は大きく2種類といいましたが、実はもう一種類あって大きく分けて3種類あります。その3つ目の品種がリベリカ種といいます。

リベリカが栽培されているのは主にフィリピンとマレーシアですが、ほとんど日本にリベリカは入ってきません。というか流通量が世界的に見ても1%と幻みたいなコーヒー豆になっています。

なんでこんなに流通していないのかというとやはり訳があります。

褒める部分が無い

味はカネフォラに似ていて、病気に弱い上にコーヒーチェリーの大きさが不揃い、さらにコーヒーチェリーが出来るコーヒーノキの高さが10メートルを超えていて収穫しにくいと褒めるところがありません。

でも唯一いいところがあります。

平地でも育つところです。

アラビカ種は最低でも1000mは標高がないと育ちませんし、ロブスタでも700~800mは必要ですがリベリカは平地低地でも育ちます。

それぐらいしか良いところが無いので栽培している農家自体も少ないし、取れた豆は国内やヨーロッパで消費されているので日本には入って来ません。

コーヒー豆精製の種類

コーヒーチェリー

コーヒー豆はコーヒーノキと言われる木に出来る実の中の種なんです。

その果実は果肉があって果肉を取ると種が見えますが、その周りにミューシュレージという甘い粘液にまとわれています。さらにその内側にパーチメントがあって、さらにその内側にシルバースキンがあって、その内側にやっと生豆があります。

その種をコーヒーチェリーから取り出して生豆の状態にすることを精製といいます。

精製にも種類があって味などが違うので主にメジャーな生成法を4つ紹介します。

ナチュラル

非水洗式とも呼ばれます。

コーヒーチェリーを収穫したあと天日で数日から数週間かけて乾燥させます。

乾燥したら機械に入れて果実の部分を取り除いて生豆にします。細かい工程が農園ごとに違ったりもしますが、その違いが農園ごとの味の違いにもなっています。

ナチュラルで豆を精製するとその品種の特徴が強めに出ます。

ウォッシュド

水洗式の精製です。

果肉を取り除いたあと微生物がいる水に漬けて発酵させてミューシュレージを分解してその後でまた水で汚れや不純物を洗い流します。

そうするとパーチメントに覆われた豆が残るのでナチュラルと同じように天日干しします

ウォッシュドで仕上げた豆は雑味を感じにくくなります

パルプドナチュラル・ハニープロセス

パルプドナチュラルはナチュラルとウォッシュドの中間の精製方法と言われています。

果肉は取りますが、ミューシュレージは取らずに乾燥させます。

こうすることでナチュラルほど強くはない味と香りがする豆になります。

パルプドナチュラルを別名でハニープロセスということもありますが、呼び方は産地の国で変わります。

呼び方は変わりますが基本的な処理は同じです。

この3つの処理の味や香りの強さは強い方から

ナチュラル>パルプドナチュラル>ウォッシュドの順になります。

スマトラ式

そしてもう一つスマトラ式というインドネシアの一部で行われている精製方法があります。

果肉とミューシュレージを取り除いたら一度半乾きの状態で乾燥させます。

他の精製は乾燥が終わってから脱穀しますが、スマトラ式は水分を沢山含んだ状態で脱穀してしまい、生豆の状態でもう一度乾燥させます

生豆の状態で乾燥させるので他の精製では出ない独特の香りがします。

生豆の等級について

グレード

非常にややこしい豆のグレードについて説明します。

ローグレード

まずは例としてローグレードというグレードの豆があります。名前の通り低い等級という意味です。

あまり美味しくなく需要が少ない豆がこのグレードにり入ります。安価なロブスタもこのグレードに入ります。

ローグレードの豆はインスタントコーヒーや缶コーヒーの原料に使われます。

こんな感じでコーヒー豆にはグレードがあります。下からローグレード、コモディティ、プレミアム、スペシャルティです。

残りを説明していきます。

コモディティ

世界の流通量が一番多いグレードです。

ブラジルNo2やコロンビア・スプレモの様に国の名前と豆の品質だけわかっている豆です。

日本でいう農協の様なところに色んな農園からコーヒー豆が集められ、その国で決まっている規格に分けられて国のコーヒー豆として出荷されます。

どんなに品質の良いコーヒー豆を作ったとしても農協に納品すればコモディティとして扱われます。

プレミアム

希少性やその生産地のみ作り出せる個性など味以外の特徴が強いかつ、生産国各地で行われているコーヒー品評会で76点以上80点未満の得点を取ればプレミアムグレード。

例を挙げるなら

  • 個性・キリマンジャロ
  • 希少性・ハワイコナ
  • 希少性・コピ・ルアク

スペシャルティ

名前からして高級感が漂ってますね。

このグレードを名乗るには条件があります。

  • スペシャルティコーヒー協会が出している資格を持った人がテストをして得点を決めて80点以上取る。
  • 生産国各地で行われているコーヒー品評会で80点以上の得点を取る。
  • Qグレーダーと呼ばれるコーヒーの国際資格所持者がテストして80点以上取る。

まずは上記の3つの中から1つ条件をクリアします。

しかし、スペシャルティコーヒーという特別なグレードを名乗るには高得点を取るだけではいけません。

スペシャルティコーヒーは簡単には名乗れない

得点に加えてトレーサビリティという、どこで、誰がどうやって作った、という豆の詳しい情報が消費者に伝わるようにしないといけません。なので国名のうしろに地域の名前や農園の名前がわかるようになっています。

他にも味や風味はこんな感じじゃないとダメですよ。

というような細かい事が定義されているんですが、基本的には得点とトレーサビリティが大事です。

スペシャルティはコモディティのコーヒーよりは値段は張りますが、日本でも普通に買えます。でも実は世界の流通量の上位5%ぐらいしかありません。

コモディティと違い農協を介さないので豆屋さんや商社が直接農園や原産国の業者と取引して買付しています。

スペシャルティコーヒー協会

スペシャルティの話題が出てきたところで少し話はそれますが、スペシャルティコーヒー協会と言う団体があります。アメリカ、ヨーロッパ、ブラジル、それと日本にもありますし、これ以外の国にもあります。

それぞれ国名にスペシャルティコーヒー協会という名称がついていましたが、この内アメリカとヨーロッパの協会が統合してスペシャルティコーヒー協会になっています。

だからこれといったことは無いんですが、知識として紹介しておきます。

カップ・オブ・エクセレンス

スペシャルティグレードに関しては少しややこしいんですが、コーヒー豆には大小様々ありますが、品評会があります。

有名な品評会はとCOEといってカップ・オブ・エクセレンスという品評会なんですが、ここでも審査員がコーヒー豆の味や香りを審査するんですが、この品評会はアライアンスコーヒーエクセレンスという団体が主催していてスペシャルティコーヒー協会は直接関係はありません。

COEには入賞という概念があって入賞するとオークションにかけてもらえて、世界中の人コーヒー関係者が参加します。

そして入賞した豆の落札金額がほぼそのまま生産者に渡るので生産者は高品質の豆を作ればちゃんと対価を得られて消費国は美味しいコーヒーが飲めるという関係になります。

コーヒー豆の別名

その地域でしか作れない特徴の強い豆に別名がついています。

モカというコーヒーの名前を聞いたことあるかもしれませんが、モカという品種がある訳ではなくてエチオピア産の豆をモカといいます。

昔はエチオピアの豆はモカという港から出荷されていたのでモカと呼ばれる様になりました。

コモディティのブラジルも店によってはブラジルサントスという名称で売っている店もありますが、モカと同じく昔はサントスという港から出荷されていたのでこう呼ばれる時もあります。

他にもキリマンジャロは一部地域を除いたタンザニア産、マンデリンはインドネシアのスマトラ州とアチェ州で取れた豆をマンデリンといいます。

このキリマンジャロやマンデリンは名称を勝手に他の豆に使ってはいけないという決まりが公式にあります。

そういう特別な豆なので、全部がプレミアムやスペシャルティのグレードになる思うかもしれませんが、そんなことは全然なくて、コモディティとしても出荷しています。キリマンジャロのコモディティはタンザニアAAで、マンデリンはインドネシアのコモディティです。

でもキリマンジャロやマンデリンにもスペシャルティはありまして、名前の後ろに地域名なんかがわかるようになっています。キリマンジャロ(地域名)などですね。

コーヒー豆の等級表記

コモディティは等級表記してありますが、スペシャルティはあったりなかったりします。

品質とは欠点豆の割合や豆のサイズや栽培されている標高など国によって違います。

その国独自の表記であったり、他の国と同じ表記を使ってる国もあるのでメジャーな国の等級表記を順番に説明していきます。

ブラジル

欠点豆の混入割合でNO.2NO.8まで分けられます。

その次に豆のサイズを12~20まで分けられます。欠点豆の混入割合はNO.2が最高で一番少なく、NO1が無いのは農作物なので混入していないのはありえないということで、NO2が最高になります。

豆のサイズをスクリーンサイズといいますが、20が一番大きい豆になってサイズが大きいほど高評価です。

なので豆屋によく売っている、ブラジル NO.2 17/18という名称は欠点豆の混入割合が一番少なくて、豆の大きさが2種類混ざっているという意味です。

コロンビア

生産される等級の種類は多いのですが、日本に輸入されるのはスプレモとエクセルソのみになり、スプレモの方が等級は上位ですが、評価されるのは豆の大きさだけなので風味は関係ありません。

グアテマラ

標高が高いほうが寒暖差が激しく豆も生きるために糖を多く蓄えるので美味しくなります。

コロンビアと同じく等級は沢山ありますが、日本で良く見かけるのは最上級のSHBで標高1600m~1700mで栽培されている豆になるので、SHBなら問題なく使用してもらって大丈夫です。

寒暖差が激しい方が実が締まって硬くなるので等級の名前がストリクトリーハードビーンズと呼ばれます。

他の国も標高で等級を決めている国は多いですが、同じ等級でも標高が違う場合もあります。

インドネシア

インドネシアはG1G2で表されていて欠点豆が少ないほど高評価されます。

ですがスマトラ式の精製になるので、G1であっても他国の高グレードの豆より欠点豆は多くなっています。

タンザニア(キリマンジャロ)

キリマンジャロはAAA,BCで等級が分かれていて。豆のサイズで等級が決まります。コロンビアと同じで風味は関係ありません

エチオピア

インドネシアと同じでG1G2で表されて欠点豆の数で決まります。

表記は同じでも基準が違って両国とも300g中インドネシアは11個までがG1、エチオピアが3個までがG1の等級をもらえます。

コーヒー豆の名称の意味

イルガチェフェ

最後にコーヒー豆の名前の意味を解説していきます。

といってもここまで見てもらえば説明しなくてもわかると思いますが、せっかくなので説明していきます。

色々書いてあるこのエチオピアイルガチェフェG1ナチュラルと言う豆について解説します。

  1. エチオピアのイルガチェフェという地域で採れた。
  2. 等級はG1なので、欠点豆が300g中3個以下。
  3. 精製法はナチュラルなので、最初から最後まで天日干し。

という事が書いてあります。

意味は今まで説明してきたことが書いてあるのでわかると思います。

ということで長かったんですが、最初から最後まで見てくれた方お疲れ様でした。

今回書いたことは知ってる人はもうすでに知ってると思いますが、今日もどこかでコーヒーに興味を持った人がいるはずなので、そういう方には役に立つと思っています。